2009/01/19

カオスの呪縛!

為替のデータは、どんな特徴があるのか? まず、時間順で並んだ数値データ(時間の経過とともに観測されたデータ)のことを『時系列データ』と言います。
『時系列データ』の部類中で、天気・為替・株価などは、『カオス時系列データ』と位置付けられています。 なぜ? 学術的に言うと以下の事項を満たすとカオス性を持つと言えるようです。
1.周期性を持たない。
2.リアプノフ指数が0より大きい。
3.何らかのポアンカレ写像により、テント写像が確認できる。

ここでは、その検証は省略しますが、これらの事項を為替のデータなどは、満たしているそうです。 ※これは、私の解釈です。 『カオス時系列データ』とは、『過去(直近)のデータに影響を受け決定づけられたデータのこと』と考えています。
カオスとは? 混沌、無秩序を意味するカオスは、コンピュータの発達により「決定論的システムが作り出す予想不能のふるまい」、 即ち、ほんのわずかな初期条件の違いが予想もつかないほど大きく違った結果を生む現象、個々の現象は決定論的に予測できても、総体としては非連続でバラバラな挙動を示し予測不可能なこととしても認知されるようになった。
気象学者エドワード・ローレンツのローレンツアトラクタが有名。 この不規則で非常に複雑に見える現象が、簡単な方程式で書き表せることもある、とするのが「カオス理論」である(常にそうできる、とまでは主張しない)。
カオス理論は数学、物理学だけでなく、化学、医学などの生命科学、経済学や社会学など、全ての学問体系に影響を及ぼしている。(byウィキペディア 『カオス』より) カオスの特徴(byウィキペディア 『カオス理論』より) * 自己相似 * 単純な数式から、ランダムに見える複雑な振る舞いが発生する * 短期的(リアプノフ時間程度)には予測可能 * 初期値のごくわずかなずれが、将来の結果に甚大な差を生み出す(バタフライ効果) * 過去の観測データから将来の長期予測が困難となる これらを踏まえて、ここからが今回の内容になります。
【過去のデータから導いたEAは、カオスから逃れられない!】
例えば、MAがゴールデンクロスすれば、『買い!』デットクロスすれば『売り!』などというのは、過去のデータからの経験を利用したもので、『カオスの自己相似性』を利用したものにすぎません。
言い換えれば、ほとんどんのEAは、カオスの自己相似性を利用したもので、バタフライ効果が将来おとづれる(将来の結果に甚大な差を生み出す)要因を踏まえたものであると言えます。
ではどうすればいいのか? 『過去のデータに囚われないEAを作成すればいいのか?』 私は、そんな風には思いません。 前に投稿した『自動売買システムの種類』でも話したように、賞味期限があると理解し、絶えず対応していくことを忘れなければそれなりのEAが作成可能であると考えます。
また、『初期値のごくわずかなずれ』に対応できる最適化がおこなえれば、十分に有能なEAが作成可能であると考えます。 今、学者さんや専門家さんたちは、NN法(ニューラルネットワーク「通称:人工知能」)最近膀決定則などを用いて、短期的な予測を行おうとしています。また、いくつか実用されているものもあるでしょう。 ただ、『高度な技法を備えたEAだからと言って、有能なEAとは、限らない。』ということを覚えておいてください。